研究課題/領域番号 |
62510023
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
宗教学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
土屋 博 北海道大学, 文学部, 教授 (30000607)
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研究分担者 |
佐々木 啓 北海道大学, 文学部, 助手 (20178643)
関根 清三 東京大学, 文学部, 助教授 (90179341)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | キリスト教思想 / 知識 / 信仰 / 教典 / 正典 / 教典宗教 |
研究概要 |
「キリスト教思想における『知識』と『信仰』の研究」という課題を設定するにあたって、一応旧・新約聖書の思想から始まるキリスト教思想史を想定したが、実際には、何を「キリスト教思想」と呼ぶかは必ずしも自明なことではなかった。旧約聖書および新約聖書に現われた思想は多様であり、その中でどれかを「キリスト教的」と見なすためには、「キリスト教」についての一種の仮説を立てなければならない。そうなると、その仮説を支える動機がまた、知識と信仰の問題として問われることになる。 さらに、キリスト教思想を確定するための資料の性格も、あらかじめ明らかにされなければならない。旧・新約聖書は「教典」(「聖典」)であり、それなりの独自の性格をもつ。すなわち、まず第一に、その成立の背景には、口頭伝承から文書にいたる長い伝承史が存在し、そこでは、文字に現われない形で知識と信仰が微妙に交錯していたと考えられる。そして第二に、旧・新約聖書は、キリスト教思想史においては 「正典」 として受容されたので、他の文書と多少異なる扱いを受けており、その場面でも知識と信仰の関係が問題となる。 今日では、特定の成立宗教をそれだけで純粋に論じることは、次第に困難になりつつなる。諸々の社会的連関、また、宗教現象としての共通の連関を考慮に入れてはじめて、各々の成立宗教を考察することが意味をもちうるのである。キリスト教の特性は、正典としての教典に依拠する教典宗教であるというところに見出される。そのためキリスト教思想史は、正典の解釈史・受容史であった。したがって、旧・新約聖書研究の方法こそ、まさにキリスト教における知識と信仰の問題の焦点となる。
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