昭和63年度は、所要経費の点から、実査を必要最少限にしぼり、近畿地方、および関東・東北地方の作品を対象とした。そのほかは、必要に応じて写真等の購入に充てた。調査した作品は、岩手・成島毘沙門堂、同・受宕神社、東京国立博物館(浄溜璃寺広目天像)、京都・広隆寺、同・仁和寺、同・教王護国寺、同・万福寺などに各所蔵の四天王像、兜跋毘沙門天像、十二神将像などである。各作品については詳細な写真撮影を行うか、あるいは既撮影写真の購入を行い、あわせて法量・構造について調査し、作風について考察を加えた。また寺史など作品研究上有効と思われる情報も極力収集した。 なお本研究は本年度が最終年に当たるので、収集した資料の整理を行い、研究成果報告書を作成した。また仁和寺の二天像について検討を加え、その成果を一部に使用した論文を学術雑誌に発表した。さらに別に広い隆寺十二神将像の研究結果を使った論文を準備している。
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