研究概要 |
本年度の目的は, 瞬目反応が覚醒水準の指標になり得るかどうかの可能性を検討するために, 催眠と覚醒条件における変化を, 容積脈波そして脳波の変化とあわせて, 特に瞬目の反応を検討することであった. これらの問題を検討するために, 大阪と秋田の間での何回かの打ち合わせに基づいた緊密な連携のもとで, すでに実験は合計3系列行われた. まず, 統制条件としての通常の覚醒水準における瞬目の変化の検討として長時間にわたる看視作業に関する実験が44名の被験者について行われた. この結果に基づいて, 次の催眠条件における看視作業実験を12名の被験者について遂行した. この結果はまだ完全に解析が終わってはいないので, 正確な報告はできないが, 概要としては思ったほど著名な催眠の効果が得られず, 比較がしにくいことが知られた. そこで, 第3実験として実験条件よりは催眠条件に忠実な実験としてイメージの実験を12, 3名の被験者について遂行中である. この結果もまだ整理が終わっていないので, はっきりしたことは結論できないが, 一般的には当初予想したような結果が得られそうな印象を得ている. つまり, 催眠には二つのスタイルがあり, これらの事実は瞬目頻度の変化のみならず瞬目波形の変化をも視野にいれないと充分には説明できない. 言い換えれば, EOG波形における振幅, 面積, あるいは立ち上がり・立ち下がりの勾配などの分析がかなり豊富な情報を提供するこが明らかになると思われる. なお, 補助金によって購入したいくつかの機器はいづれも予想以上に活躍し, 実験制御と資料解析の効率を飛躍的に上げた. その技術的な成果はすでに論文として専門誌に投稿して受理された. 残りの3つの実験の結果についてもデータの整理が終わりしだい, いくつかの専門誌(外国誌も含めて)に投稿する準備を進めている.
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