研究概要 |
初年度のため, 装置の開発に手間どってしまい, 実際に群れで本格的に実験を開始するのは次年度になってしまった. 当初予定していた, 大豆や小麦とゴルフボールの交換器は, ポータブル・タイプにして何処にでも複数個設置することが難しいことが分かったが, 予備実験の結果, どうしても複数台の交換器がないと, 特定の個体が常時占有してしまって, 伝播を調べにくいことは明らかなので, ポータブルということと複数台ということを重視して, 製作の容易な液体(オレンジジュース)のディスペンサーの開発を行った. 行動観察の方法には, 霊長類研究所で開発された, エプソン社のHC-40ハンドヘルド・コンピューターを利用する方法を予定していたが, シャープ社からHC40と同等以上の機能を持ちながら, 大きさと重量は半分以下でポケットにも入るサイズ, しかも表示部には漢字で指示文を出せるという, 極めて好都合な機種が発売されたので, 早速, このポケットコンピュータを観察記録装置として利用するのに必要な各種テストとソフトウエアの開発を行った. これにより, フィールドには身軽なポケコンを持参し, データ入力したのち(16KバイトのRAMモジュールが使えるので数日分の蓄積可), 夜, 宿に帰って, ポータブルパソコンや電話回線を通じて転送し, 処理するというシステムが完成した. また, レバーを押すとゴルフボールが出てくるという, ゴルフボール呈示器も開発中であるが, 種々難点があり, うまく作動しないが三月中には完成する予定である. もちろん, これも12Vバッテリーパックを使って, 円筒状可搬型のものであり, 100個のゴルフボールを収納できる設定になっていいる. 群れの予備観察(社会変動などの追跡)は研究協力者に依頼したため, 謝金を必要とした. また, 本研究と関連した論文の別刷代, 国際心理学会等との連絡のための郵便代も必要とした.
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