研究概要 |
〔研究の目的〕 本研究の目的は, 老年期における知能の維持と低下の様能を明らかにすることにより, 知能の加齢パターンおよび構造変化を明らかにすることである. 知能は青年期にほぼそのピークに達し, 65歳以降の老年期までは比較的よく維持されることが, 諸外国での研究から明らかになっている. そこで本研究では, 維持されやすい言語性能力と低下しやすい動作性能力, および, 老人の知能において特に重要な役割を果していると思われる記憶の三側面に焦点を当てながら, 地域老人データの解析により, 正常加齢としての老人知能のあり方を浮き彫りにしようとするものである. 〔研究の実施〕 対象:東京都内の平均的な中都市である小金井市をフィールドに定め, 市内に在住する70代前半の老人300人を選び, 本年度はその内の220名について調査し, 残り80名については来年度において調査を実施する. 対象者の選定は小金井市の協力の下に, 住民台帳に基いて行った. テスト:知能の測定はWAIS知能検査により, さらに記憶機能を測定するために, 本研究所で開発した老人用記憶テストを用いた. 手続き:対象者が老人であるので, 調査不能や拒否のケースを極力少なくするため, 調査はすべて対象者本人の家庭を戸別に訪問し, その自宅において行った. なお, 老人の場合, 若年者よりもテストに要する時間が長くなりやすく, 疲労しやすいので, 原則としてテストは2回に分けて行った. 調査の進行と結果:調査は本年度分の220名については11月1日から2月末までの間に終了したが, 現在調査票を整理中であり, データ分析については本年度実施分とあわせて行う予定である.
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