本研究は、現代社会における紛争処理の能様について明らかにすることをネライとしており、主に3つの部分から構成されている。 第1は、市民の法意識であり、ここでは法意識の方向と水準の2つの視点からアプローチされている。「方向」は、個人主義ー相互主義と公志向ー私志向の2つの尺度でとらえられ、「水準」は、規範主義ー順応主義の尺度でとらえられている。平民においては、相互主義が圧倒的に優勢であるが、公志向と私志向では私志向が優勢であり、平民はよりよい社会をつくることには賛成しているが、かといったそのために個人の権利まで放棄するものではないことがわかる。 第2は、市民の紛争処理の態様である。ここでは紛争処理の志向と紛争処理の経験の2つの視点からアプローチしている。前者からは、市民が紛争処理にあたって、第1次的紛争処理機関よりも第2次的紛争処理機関の利用に傾斜しており、他方後者からは、実除に、恵2次的紛争処理機金の役割がきわめて重要な位置を占めることがわかる。 第3は、紛争処理における弁護士と市民との相互の関係である。ここでは、弁護士職に対する職業行価、弁護士アクセス、弁護士職の職業構成の3つの視点からアプローチされている。前者からは、市民と弁護士の間にとくに弁護士職の安定性と高収入性の2点について認識の中カップが大きいことがわかる。中者からは、アクセス経路が困難的であり、かつまたクライアントの階層が上層に傾斜していることがわかる。そして後者からは弁護士職が員訴訟業務に特化していることが明からになっている。
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