この研究の目標は、(1)P.バーガーの一般社会学理論と、(2)彼の宗教社会学をふまえて、(3)宗教社会学を現象学的に再検討することであった。昭和62年度と63年度では(1)と(2)についてほぼ検討してきたが、(3)については現在検討中である。ところが、(2)についてはバーガー自身が十分に分析していない。そこで次の基礎的な課題を先に考察しまとめる必要がある。すなわち、(a)宗教的行為と宗教集団の二点と、(b)個人と社会と文化の相互に対する宗教の三機能である。なぜならば、本研究で目標とした現象学的なアプローチでは、現象が人間の意識においてどのように現われるかが研究されるので、宗教的行為と宗教集団の顕在的な側面と、宗教の諸機能の潜在的な側面が重要な要因になるからである。
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