研究概要 |
1.上記テーマで形成評価研究を実施した. 本年度は日仏比較研究に引き継ぎ動作リズム・優先テンポの増強効果の検討に重点がおかれた. 対象児は市内養護学校小学部低・中学年10名. 2.優先テンポの増強プログラム:生体内の動作リズム発現機構に対応して, (1)歩行運動を中心とする交叉相反性のリズム駆動, (2)跳躍動作にみられる伸展抑制性のリズム駆動の増強を目的とした. 週1回1時間(8月末〜12月), 小学部低・中学年ブロックの全面的協力のもと体育館で実施. 3.増強効果の検討(1), とくに階段昇降動作のリズムパターンの安定及び心拍活動水準の特徴比較:生体内増強指標として有効. 発達段階は5Phase. 障害種別特徴比較:各障害児はも足蹠パターンは階段の方が床歩行時に比し支持脚機能の安定したパターンを示す. (1)ダウン症児は筋弛緩のためあおり動作の少ない歩行パターンだが, 支持脚機能とくに左足拇指球部支持による昇降で, 心拍リズムとも同期した傾向を示す. (2)これに対し多動傾向児は心拍リズムの駆動が高く, 交互昇降だが足蹠パターンは不安定. が, 増強により第1指直支持減少. (3)単純精神発達遅滞児は, 踵・拇指球部の支持時間が長く, 下降時にその傾向が強い. それゆえ心拍リズムとの同期が悪い. 各自の優先テンポに応じたフィードバック刺激の導入はその改善・安定に効果を示した. 4.増強効果の検討(2), とくに定位対象の活動水準比較からみた学校生活動態の改善・変化:自らの優先テンポでどのように能動的に活動しているか. 活動姿勢等15項目がスナップリーディングされた(5分毎). 予想した以上に探索的な安定水準で, これに対する指導内容では不充分な点が具体化した. 応答の仕方, 集団編成, カリキュラム等改善策を教師集団と検討した. 優先テンポが増強されれば指導内容も変化する関係にあり, 形成評価研究として本研究は現場教師に多大の示唆を提供することとなった. 追跡が期待される.
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