研究課題/領域番号 |
62510166
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
黒田 日出男 東京大学, 史料編纂所, 助教授 (90013284)
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研究分担者 |
塚田 孝 東京大学, 文学部, 講師 (60126125)
宮崎 勝美 東京大学, 史料編纂所, 助手 (60143533)
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キーワード | 参詣曼茶羅 / 絵解き / 絵図 / 図像 / イコノグラフィー / 象徴 / 絵画史料 / 西国三十三カ所観音霊場 |
研究概要 |
昭和63年度の研究実績は、以下に記す通りである。 1.施福寺(和泉国)の再度の実地調査と葛井寺(河内国)の調査を行い、一応の成果を挙げることが出来た。とくに施福寺の調査では、近世中期の「施福寺山内絵図」を発見して、調査・撮影を行うことが出来たのは大いなる収穫であった。これによって「施福寺参詣曼茶羅」に描かれている「山口大明神」の位置も明らかにすることが可能になったのである。また京都国立博物館への出張においては、絵画(絵図や絵巻物)の原本の現状に修正・補修の跡を確かめる場合に、熟覧と赤外線写真撮影(接写)がどれ程確実な手段であるかといった、原本の調査方法の模索を行ってみたものである。 2.参詣曼茶羅の所在情報および関連史料についての情報に関しては、引続き収集を続行した。また、「施福寺参詣曼茶羅」と「長命寺参詣曼茶羅」などの二、三の参詣曼茶羅については、参詣曼茶羅の個別分析例として持続的な検討を行っており、その成果は、一両年中に報告する予定である。 3.収集した参詣曼茶羅の写真および大阪市立博物館編『寺社参詣曼茶羅』の図版などを分析対象として、参詣曼茶羅の「コード」研究を集中的に行った。山・岩、海・湖・川、樹木、寺社の本堂・本殿、堂や塔頭・院家、在家(民家)などの建築物の象徴的な「意味」を明らかにするとともに、それらの諸図像がどのように布置・構成されるのかについての「統群法」・「文法規則」の検討に努めた。その成果も、ここ一両年中に論文として発表する予定である。 4.観心十界曼茶羅については、「観心十界曼茶羅の宇宙」という論文をまとめた。
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