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1988 年度 実績報告書

士族反乱の研究ーその心性と社会的背景ー

研究課題

研究課題/領域番号 62510169
研究機関京都大学

研究代表者

佐々木 克  京都大学, 人文科学研究所, 教授 (30115852)

キーワード士族 / 反乱 / 心性 / 社会
研究概要

本年度は、士族反乱の起った佐賀、熊本、福岡、山口、鹿児島の各県の図書館・史料館等において、士族反乱関係の史料や文献を調査・閲覧し、昨年度に収集した史料の補充を行った。またあわせて、反乱地域のフィールド調査に努め、蜂起の社会的背景と考える材料の収集を心がけた。さらに今年度は、蜂起士族の口供書、上申書の整理・分析に取組んだ。これは、蜂起士族の心性面と、なぜ、どの様な経緯から反乱に参加して行き、如何なる行動をしたかを明らかにするための最も基礎となる作業である。口供書・上申書は、士族一人につき一枚のカードに整理して行ったが、その数は、西南の役2099枚、秋月の乱548枚、熊本神風連の乱104枚、萩の乱548枚、総計3139枚のカードデータとなった。なお佐賀の乱については、まだ口供書の全貌を把握出来ていないが、現在のところ100枚のカードが出来ている。
まだカードデータの全面的な分析は終っていないが、現段階で云えることは以下の点である。
1.熊本神風連の蜂起士族は、きわめて復古的なイデオロギーが強く、確信犯的である。ついで佐賀の乱の憂国党士族がそうした傾向を見せるが、全体として、佐画の乱の場合、士族総体としてのイデオロギー的共通性は強調出来ない。他の反乱士族はそれ以上にまとまりがない。
2.反乱の組織力の面においては、西南戦争がきわだっているが、個々に士族をみると、必ずしも、政治的目標、イデオロギーの面において同一性を持つとは云えない。政府当局が作った口供書という限界をふまえた上で、西郷隆盛の存在と特異な影響力を改めて考える必要がある。
3.士族反乱は、全体として、政府の挑発の面が強く、反乱士族は、イデオロギー的にも、組織的・軍事的にも、充分な結束と準備が整わないままに蜂起して行ったと云えるであろう。

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公開日: 1990-03-20   更新日: 2016-04-21  

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