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1989 年度 実績報告書

春秋・戦国・秦漢時代の都市の構造と住民の性格

研究課題

研究課題/領域番号 62510192
研究機関名古屋大学

研究代表者

江村 治樹  名古屋大学, 文学部, 助教授 (80093201)

キーワード都市の地域的特質 / 都市住民 / 秦漢帝国 / 官僚制
研究概要

三年間にわたる春秋・戦国・秦漢時代の都市にかかわる考古資料、出土文字資料、文献史料の整理によって、戦国時代を中心とする時代に爆発的な都市の発達が生じたこと、そしてその発達には地域的な片寄りとそれに対応した性格の相違が存在したことが明らかとなった。すなわち、河南省、山西省南部を中心とする中原地域では都市の発達が顕著であり、しかも、これらの都市の経済力に裏付けられた独立性を有していた。そして、この地域の諸国家も制度的にその独立性を容認する傾向があった。これに対して、その周辺地域では、国都は別として、都市発達はそれほど顕著ではなく、一種の農業都市に止まっていたようである。そして、このような周辺地域において中央集権的な国家が成長してくることが確認できた。中央集権的な秦漢古代帝国は、当然このような周辺諸国家の支配のあり方を直接受け継いでいると考えてよいが、これによって秦漢古代帝国全体が理解できるわけではない。とりわけ漢帝国は、秦帝国の失敗の後を承け、経済的に発達した中原地域の都市のあり方に強く規制されたようである。とくに、武帝までの時代は、王朝の政策、支配層の思想傾向など、経済的都市の発達を容認する面が強くあらわれている。そして、このような側面は、より深く漢帝国の国家体制の中核である中央集権的な官僚制そのものをも規定していたように思われる。すなわち、漢代官僚において顕著にみられる自立性は、戦国時代以来の中原地域における独立的な都市住民の存在形態を抜きにしては考えられないのである。今後、秦漢古代帝国の問題を考える場合、このような中原地域の都市住民と官僚との関係をより突込んだ形で解明していく必要が強く感じられる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 江村治樹: "戦国時代の都市とその支配" 東洋史研究. 48-2. 195-234 (1989)

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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