研究概要 |
1.皇朝十二銭による重量基準の復原については, 平城京出土銭を中心に取扱い, 初鋳年代の下る銭貨ほど重量のバラツキが少なくなる傾向がみられ, 重量基準の確立していく方向がみられた. 2.鉄釘の寸法及び重量の計測値にもとづき, 「鉄」についての斤・両・分(鉄)の実際の重量を考察し, あわせて鉄釘の名称を復原した. 3.木製曲物容器の斗量(容積)を底板の直径と側板の高さから計測した. 底板の直径からは30〜12cmの間, ほぼ8種類に区分され, このうち直径15cm前後, 高さ6cm前後のものが大半を占め, 当時の一般的な曲物容器の容積が求められた. ただし, 側板をとどめる例は数少なく, この数値を一般化するにはなお資料の増加が必要である. 4.7・8世紀を中心とする建物遺構の造営尺を集成し, 7世紀から8世紀に至る基準尺の変遷をあとずけた. すなわち, 7世紀中頃では1尺が0.295cm以下であるのに対し, 8世紀前半では0.297程度に伸び, 8世紀後半ないし平安時代の初頭ではほぼ30cmに近い数値が知られたのである. 5.なお昭和63年度では, 各地出土の「尺」の実物を集成し, 実際用いられた「基準尺」を明らかにしたい. 6.また, あわせて62年度不充分であった土器類の容積復原から, 前述した木製曲物容器の容積ともあわせて, 古代の斗量の基準を考えたい.
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