昨年度に引続いて、本年度も法会の現状調査と文献・史料の調査の方法を通して、法華経信仰の表現形態を探ることにつとめた。 法会の現状調査に関しては、天台宗諸寺の関連法会の中、日吉大社の山王礼拝講における"法華八講法要"、延暦寺長講会における"法華講問論議法要"、三千院御懴法講会における"声明例時法要"と修正会における"悔過法要"などについて調査を行い、天台宗における法華経信仰に関わる法要の諸形式を把握した。 文献・史料の調査に関しては、叡山文庫所蔵の関係史料調査を行い、また昨年度に引続いて諸文献から中世以前の年中行事の記事を抽出し、年中行事を通して仏教典礼の推移を把握した。またこれを併せて平安初期における天台諸師の活動の軌跡を確認した。 以上の調査資料を基に、法華八講会の成立・展開を明確にあとづけることを意図し、わが国にける法華経受容の過程と、法華経の七巻本から八巻本への移行過程、および八巻本採用が招いた五巻日の作法の成立とその盛行を追跡した。その結果、法華八講会の成立に慈覚大師円仁の営為が大きく関わっている。との確信を得、本研究における成果として別紙の通りの発表を行った。
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