研究課題/領域番号 |
62510256
|
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
牧野 有通 明治大学, 文学部文学科, 教授 (20092471)
|
研究分担者 |
林 義勝 明治大学, 文学部史学科, 助教授 (10164972)
|
キーワード | 連邦主義 / 奴隷制擁護論 / マナサスの戦い / ゲティスバーグの戦い / アトランタの陥落 / リッチモンドの陥落 / 書かれざる戦争 / 人種差別 |
研究概要 |
昭和63年度において、「南北戦争とアメリカ文学思潮にかかわる具体的な実績は、次の五点にまとめることができる。1.南北戦争が勃発する必然性を自らの作品の中で示し続けてきた同時代作家メルヴィルの代表作『白鯨』を歴史的イデオロギーの観点から分析し、英文にて40枚の原稿を完成したこと。この論文は昭和64年度にアメリカの出版社から出版される予定である。2.同じくメルヴィル論であるが、メルヴィル後期の南北戦争を直接扱った詩集、『戦争詩集』を中心として、前期の『マーディ』、中期の『ベニト・セレノ』、後期の『クラレル』等に認められる奴隷制に対する彼の視点の深化過程、そして戦争自体の逆説的な意義をめぐって「南北戦争とアメリカ作家ーーメルヴィルを中心に」(仮題)を執筆中であること。これは昭和64年度アメリカ文学会全国大会に発表予定であるとともに、『SKY-HAWK』第五号に英文で発表の予定である。3.研究分担者林義勝による論文「デヴィッドソン夫妻と南北戦争」が研究誌『マグノリア』第三号に発表されたこと。これは一南軍兵士が、南北戦争における重要な戦闘に参加し、その最前線からやはり危機的な状況にある南部で避難生活を続けるその妻へ送った手紙を中心にして、個人の視点に浮かび出る南北戦争そのものを再生した基礎的な研究といえるものである。4.南北戦争の後遺傷を南部の地で直接的に受けとめ、それを自らの文学的想像力の核心におく南部作家フォークナーの『初期作品集』を翻訳し、『フォークナー全集』の一巻として、近年中に冨山房より出版されること。5.アメリカの戦争が文学者に与えたインパクトを考察する上で、南北戦争のみならず第一次、第二次世界大戦における作家と社会状況との関係を分析した私の二篇の論文を含む共著『アメリカ文学とその時代』を研究社から出版すること。これは昭和64年3月に出版される予定である。以上を研究実績として報告する。
|