研究概要 |
まず対象となるいくつかの職業の制度的枠組みについて基本的事項を調べたのち, それぞれの職業団体(日本公証人連合会, 日本司法書士連合会, 東京司法書士会, 日本公認会計士協会, 日本税理士会連合会, 弁理士会)の事務局を訪れ, 会長, 事務局長などから実際上の諸問題について聞き取りをした. また, 個々の職業家の業務実態について, 公証人1名, 司法書士1名および税理士4名に面接し, さらに関連したものとして, 企業法務員2名, 外国法事務弁護士1名に面接した. その結果, それぞれの職業について, 沿革制度改革問題, 試験などの補給制度, 人員の分布, 業務共同化や事務員など業務態勢の実状, 企業等による雇用状況, 業務形態の近年の発展, 報酬制度, 弁護士および他の準法律家との職域調整ならびに連携関係, これらの職業にまたがる兼業の状況等々について, 多くの新しく具体的な知見を得ることが出来た. 調査の第2段階では, 法曹人口問題に関連の大きい司法書士に焦点をしぼることにした. 司法書士について特に注目されたのは, 近年, 予防法学的な法律相談業務が増大していることである. 中でも, 不動産売買契約の立合いを不動産登記事務とは別個の事務とし, 報酬取り扱いも事実上それを独立させる運用を行っているのが注目された. そこで, さらに8名の司法書士(内3名は, 地方開業者)により詳しい調査票による面接を行い, 各人の実際の年間取り扱い業務の種類, 量等について詳しく調べた. そこで得られた知見を基に, 次に当初の計画を思い切って拡大し, 全国の司法書士からほぼ10人に1人の割合でサンプルをとり, 調査票の郵送によって組織的なデータを収集することとし, 調査を実地した. 3月上旬現在回収を終わった(回収率60%)ところであり, その結果はまだ得られていないが, 司法書士の業務実態について画期的な資料が得られよう.
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