1.本年度は、地方公共団体の外郭団体・地方公社のうち、業務内容的には、 (1)地域振興・高度技術振興を目的とするもの、 (2)文化・スポーツ振興・公共施設の管理を目的とするもの、 (3)地方鉄道の管理を目的とするものを重点的対象として、その組織形態、経営状況、当該地方公共団体との関係などについて、実態調査を行ってきた。 2.近年の地方公社設立動向の特色は、株式会社形態の第三セクター方式の政策的活用である。行政改革に関する第二臨調答申に基づき、 「民間活力の導入」 が図られ、その具体化として、民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の制定やNTT株式売却益による無利子貸付事業精度の創設などが行われたことが増加傾向を助長した大きな要因である。 3.一般に第三セクター方式は、 (1)計画性を確保し、事業の公共性を担保することができること、 (2)民間資金の導入、 (3)民間の事業能力・経営能力の積極的活用、 (4)地方議会のコントロールの回避、予算・行政制度の硬直性の排除などに、設立のメリットがあると解されている。しかし、地方公共団体の周辺に位置して、その行政的機能を補完・補助している外郭団体・地方公社は、地方公共団体が出資し、その事業が公共性を有している限り、適正な運営確保のための統制システムが必要となる。昭和63年9月、自治省内に、「地方公共団体の第三セクターの運営等に関する研究会」が設置されたのも、そのような趣旨からである。 4.本研究は外郭団体・地方公社に対する民主的コントロールの法制度について、その実態をふまえて検討してきたのであるが、法制度の枠内でのコントロールの限界を補うものとして、地方公共団体によるインフォースルな助言、指導が重要であることが明らかとなった。
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