1.地方公共団体の外郭団体・地方公社の近年における設立動向の特色は、一方においては地方行革の進展のなかで整理・統廃合がすすみつつ、他方では、その積極的活用がはかられていることである。事業内容別には、かつての開発型から管理運営型に主流が移っており、法形態的には株式会社形態の第三セクター型の新設動向が顕著である。前者は、地方公共団体の行政事務・施設管理事務の外部委託の受け皿として活用される例であり、後者は、民活法に基づく税制・金融上の優遇措置やNTT株式の売却益の一部を活用した無利子貸付制度の創設によるところが大である。外郭団体・地方公社は、行政施策の展開とともに変遷するものである。 2.地方公社・第三セクターは、「官の計画性と民の効率性の結合」をそのメリットとして活用されるのであるが、それらの事業は公共性を有するが故に適正な運営を確保していくためのシステムが必要となる。現行法上、地方議会による統制手段としては、関係予算の審議、経営状況の報告、百条調査権などがあるが、一般的、間接的な統制でしかない。神戸市での「外郭団体特別委員会」設置の試みは議会による監督強化の試みとして注目される。地方公共団体の執行機関は、各種の調査・監督権限および人事・財政を通じて、強力な支配力をもっているが、このことは必ずしも適正かつ民主的コントロールとして機能せずに、逆に両者の癒着による病理的現象、例えば、汚職収賄事件、上級公務員の天下り問題の構造的原因となることがある。 3.外郭団体・地方公社に対する民主的統制の課題は、外郭団体等と地方公共団体の執行機関との関係が実質的には一体的であるがゆえに、議会、住民による統制をいかにして強めるかということである。そのためには、外郭団体・地方公社の業務内容の情報公開の制度化なども一つの検討課題であると思われる。
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