ソ連憲法が88年12月に改正され、ソビエトの在り方の大幅な改組が注目される。年2回程度、しかも1会期2〜3日という立法機関としてはあまり弱体であったが、数百人規模の「常設的」議会といいうる最高ソビエトに再編し、新たに人民代議員大会を創設した。議会にソビエトの権威を高めるべく、ソビエト議長のポストも新設された。一般に「大統領」的議長ともいわれているものである。 従来からの「古典的」な社会主義憲法理論にみる「人民代表制」論は、こうして大きな再編の時期にさしかかっているといってよい。昨年は、社会主義における複数主義との関わりでこの「人民代表制」論の新たな動向を整理したが、今年は「議会主義」「法治国家」などの議論をフォローし、併せてブルジョア憲法学説とされてきたそれらの議論を発展的に継承するというよりは、その批判的克服こそを強調してきたソビエト憲法学が、今日直面している課題の意味とその大きさ・困難さを把握することに努めた。 またユーゴスラビア、ハンガリー、ポーランドなどそれぞれに特徴をもつ東・中欧の社会主義諸国の憲法改正や立法動向も大きく動いた。いずれも「人民代表制」論の新たな枠組みの設定に重要な視点・視座を提供するものであった。 いずれも、現に展開中のものであり、資料・文献の収集およびその検討・分析に追われ、全体をまとめあげるには至らなかった。
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