研究概要 |
(1)人身保護法および人身保護規則制定過程の研究については, 文献, 資料などの調査を中心に行なった. その際, 人身保護法制の問題が, 刑事手続・刑事訴訟法の問題と密接に関連していることに鑑み, 戦前の刑事手続・刑事訴訟法についても研究を行なった. これらにより, 我国における人身保護法および人身保護規則の制定に際して参照された, 英米ことにアメリカ合衆国における人身保護法制, ヘビアス・ユーパス(Haebeas Corpus)制度の, その当時における理解, 把握の実状を明らかにすることができた. この, 同時における理解, 把握の正確さを検証するべく, 英米, ことにアメリカ合衆国における人身保護法制, ヘビアス・コーパス制度を研究したのである. (2)英米における人身保護法制, ヘビアス・コーパス制度の研究に際しては刑事手続・刑事訴訟法の中で生じている人身保護問題を中心に研究した. また, その関係で, ヨーロッパ大陸, ことに西ドイツにおける刑事手続・刑事訴訟法についても調査し, 人身保護問題の存在について研究した. (3)この研究以前の昭和61年8月27日に日本弁護士連合会人権擁護委員会人身保護法制に関する調査研究委員会で行なった講義に, 今年度この研究で得た成果を加えて, さらに研究し, 昭和62年6月5日に, 講義録「アメリカ合衆国における人身保護令状制度(日本弁護士連合会人権擁護委員会人身保護法制に関する調査研究委員会)」を, ワープロ印刷52頁(B5版)として得ることができた. この講義録を, 論文の形で発表する作業を行なっている. なお, この研究で得た知見, 成果を, 近時脱〓した論文「黙秘權」(取調法大系所収, 日本評論社より発刊予定)において, 実質的に利用し, 生かすことができた.
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