研究概要 |
研究代表者と研究分担者はほぼ1ケ月に1回程度の頻度で東京で研究打ち合せを行ない, またその機会を利用して国会図書館, 外交文書館などにおいて文献調査を行なった. 研究分担者は昭和63年1月に札幌に出張し, 研究打ち合せならびに文献調査を行なった. 原資料の調査については, 1.公刊のソ連外交資料は, 若干の回想録を除いて, ほぼスラヴ研究センターに所蔵されているものでカバーされている. ただし, ゴルバチョフ政権登場後のいわゆる情報公開政策によって, ソ連=ポーランド関係史について新しい資料が公刊される気配があり, 予断を許さない. 2.西側資料はかなりの程度国内で入手可能であることが判明した. それは英米の外交文書, 諜報機関文書, 軍事観測筋の文書, ソ連紙のクリッピング・サービスなどにわたっている. これらは索引としてきわめて重要であるが, その分析にはyycの入手を必要とする. 3.日本側の資料は調査できた限りでは状況証拠的価値をもつものに過ぎない. 参考文献については, 米国, 英国, 西独において相次いで新しい研究が発表されているが, ソ連側の新資料を使ったものはまだ数少ない. 注目されるのはソ連, ポーランドの研究動向である. まだ雑誌論文段階であるが, 論争が展開されており, 近い将来に新しい解釈が打ち出される可能性がある. 初年度は資料調査が中心であり, 分析作業はなお初歩的な段階にある. 本格的な分析作業は第2年度に行われるが, すでに現在の段階で研究代表者は成果の一部を『ポーランド現代史』(山川出版社, 昭和63年5月刊行予定)に発表し, 研究分担者も論文「大同盟期におけるソ連外交」(雑誌『思想』に掲載予定)に発表する予定である.
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