研究概要 |
新古典派経済学(ワルラス経済学)にたいする批判の理論的基礎を提供するノン・ワルラシアン経済理論をその経済学史的背景および源泉にまでさかのぼって調査, 考察し, 研究代表者の従来の研究のいっそうの展開をはかることにつとめた. 経済学の先駆者であるロックにおける貸借数量説のミクロ的基礎をなすその独特の価格論を, ノン・ワルラシアン理論の立場から再検討し, 従来の誤った解〓を正した. ワルラスの経済理論を, ノン・ワルラシアン理論の立場から批判的に再検討し, ことにタトマン(模原理論)と再契約の問題, 独占的競争の一般均衡理論への導入の問題について考察を加えた. さらに, 均衡の不存在という問題に関して, ソーントンからアロウまでの理論史を展開した. 本年度の研究は, オーストリイ学派, ケンブリッジ学派, ジェヴオンズ・エッジワースに重点をおき, それぞれ, 静態と正の資本利子の存在, 密接需要曲線と不均衡理論, 企業のライフ・サイクル, ラージ・エコノミイ, エッジワース定理の意義などにつき考察を加えた. 以上の研究成果はいずれも部分的に邦文・英文論文として公開しつつあり, また集大成して英文単行本として公刊するための準備をすすめつつある.
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