本研究の目標は、Tango(Biometrics 1984)により提案された時間集積性検出のための統計量に関して、1)母集団サイズ(地域毎の)が一様でない場合への拡張、2)漸近分布理論の検討などが主な課題であった。 この問題に対し、62年度では 1)O/E比(観測数/期係数の比)の統計量を導入することにより、自然な拡張が得られ 2)漸近分布は簡単なX^2分布(自由度を統計量の〓度で調整する)により充分な近似ができることがわかった。 63年度では、これらの理論的結果を基にして、拡張された集積度指数の性質をシミュレーションにより検討した。その結果 1)この統計量の分布はある限定された局面では正規分布に近似することも可能であるが、それは実際的局面ではない。 2)多くの対立仮説(集積パターン)に対し検出力は悪くない。対立する強力な方法が現在の所存在しないので、この検討は比較検討にいたっていない。 これまでの研究は、主に理論的な検討・シミュレーションによる性質の検討に終始したが、これも実際のデータ、特に今、社会的問題となっている川崎病患者のデータに利用して発生様式の検討を行いたい。当初この分析は今年度中に計画していたが、時間の都合でそこまで行かなかったのは残念であった。ただ、データはすでに整理されているので今後の計画には支障をきたさないものと考える。
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