前年度にひきつづきわが国自動車産業にかんする基礎的資料のしゅう集・整理につとめるとともに、とくにわが国自動車会社の対外進出計画についての資料のしゅう集につとめた。この間、トヨタ、日産、マツダ、ホンダなど各社の対外進出プロジェクト関係者より、対外進出にかんする問題点につていの聞き取り調査をも行った。このような日本自動車メーカーの対米進出は、アメリカのいわゆるビッグ・スリーおよび韓国・台湾など途上諸国メーカーとの技術的・資本的提携関係の強化と同時平行的に運行しており、世界自動車産業のいくつかの大グループ(国際的な企業同盟)への再編成の一環をもなしている。 これまでの日本自動車メーカーの対外進出は、もっぱらアメリカ、カナダでの現地生産という形をつうじて展開されてきたが(途上諸国における輸出代替的な小規模生産を別とする)、1992年のEC統合を前にして日本自動車メーカーの対EC進出がこの1年間目立ってきた。すでに進出済みのホンダ、日産につづいて、89年初にはトヨタが、さらにマツダがECでの現地生産計画を発表したまEC内の自動車メーカー、とくにフランスのプジョーやルノーなどの強硬な反対もあるので、このような進出計画がどこまで実際に実現するかどうか今後の問題として残されている。 今年度内に発生したものうひとつの大きな課題は、米加自由貿易協定の成立と発効が、日本自動車メーカーの北米大陸における展開にどのような影響を与えるかであった。この点については、研究は緒についたばかりであり、次年度以降の本研究者の自主的研究の継続として後に譲らざるをえなかった(幸いにして、カナダ政府よりCanadian Studies Awaed)を与えられ、本調査テーマについての研究継続は可能となった。
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