平成元年度の研究実績の概要は、次の通りである。 本研究の目的は、会計監査実施業務における統計的手法の実務的応用の可能性を探究し、コンピュ-タを用いて監査実務全体に利用可能な統計的手法による監査実施システムの有効性を検証することである。そのため、研究の実施にあたり、次の4点を中心とした調査研究プログラムを立案し、それにしたがって研究活動を進めた。 (1)統計的手法の監査業務への適用可能性についての理論的検討 (2)適用可能領域について、コンピュ-タに基づくシステムの開発およびその検討 (3)不適用領域について、新しい監査技術の利用可能性の探究 (4)情報メディアとしての監査報告書のあり方の検討 上記研究の詳細な内容については、研究成果報告書を参照されたい。 これらの内、(1)、(3)および(4)の調査研究については、研究成果報告書に示したように当初の目的が達成されたが、(2)のテ-マについては、会計監査実施業務全体に利用可能なシステムの構築には至らず、その一部分である、コンピュ-タに基づくアナリティカル・レビュ-・システムの構築にとどまっている。かかる研究領域は、監査実務が極めて多様であることから、その実現が困難な領域であるとの認識が一般的であり、本研究の目的を完全に達成するためには、さらなる研究と時間的余裕・コンピュ-タについての高度の専門知識が必要であると考えられる。しかしながら、本研究での成果は、従来その研究が行われてこなかった領域に開拓の基礎を構築し、将来の発展的な研究に必ず有用なものになると考えられる。
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