研究概要 |
この研究は昭和62年度から昭和63年度にかけての2年継続のもので, 初年度である昭和62年度はその準備段階の年度に当たるので, 具体的な成果はあまり多くない. しかし, 研究代表者及び研究分担者の何人かは具体的な成果を若干得ている. 研究代表者によるものの一つは, 余可換ホップ代数の短完全列に関するもので, 数年前福岡歯科大学の首藤武史によって得られた超代数に対する結果の一般化になっている. また研究代表者による他の結果は, 被約準正規局所環の重複度と埋め込み次元による特徴付けを与えたことである. これもE.Davisが1978年にクルル次元が1の環に対して与えたものの任意の次元の環への一般化になっている. 研究分担者による成果としては, 可換環論と密接な関係のある実代数幾何学の分野において小池敏司がblowing-upの際のjetのC^0-sufficiencyに関する結果を得て, 京都大学数学雑誌に発表を予定している. また解析函数の分割問題についても北海道大学数学講究録に発表予定である. 更に, 渡辺金治により微分方程式論の分野で楕円型混合問題の一意性に関する結果か得られており, 目下論文作成中である. 昭和63年度においては, 上述の成果を基礎にしてさらにより良き成果を求めるとともに, 研究代表者及び研究分担者による新しい成果が得られることを期待している. そのために昭和62年度と同様に各地の研究者と研究連絡を密にするとともに, 情報の交換に努めたい.
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