研究概要 |
二重正則有効グラフDRADはブロックデザインの特殊なものと考えられるが、μ,κ,λ,がブロックデザインのパラメタならば、そのパラメタのDRADが存在することが予想されるし、アダマールトーナメントHT (DRADの1種) の存在問題の肯定的解決はただちにアダマール行列の存在問題の解決になる。DRADは充分一般な対象であり、従来のブロックデザインやアダマール行列の理論に、新見地を開くものとして期待される。 (1) 大きな自己同型群を持つDRADについては、階数3のものはKantorにより平方剰余型のHTであることが示されていたが、伊藤は階数4のものは (1,6,6,2) Kummerデザインから得られる、階数5のものは、ある条件の下で、特定のGF (b) の4次剰余の作る定差集合から得られるものであることを示した。DRADの自己同型群Gについての最大の問題はGの可解性を決定することであろう。 (2) 直径4とかガース4とかのDRADの存在は未解決である。伊藤はDRADにNグラフという概念を導入し、その連結性により正則アダマール行列から得られるDRADを特徴づけた。 (3) HTの存在問題については現在考究中である。HTのパラメタをμ=4λ+3,κに2λ+1とする。λが偶数のときは限られる。このとき問題はGF (2) 上μ次の直行行列群Ωμ (2) の中の位数3で、そのスペクトラムが1 ┣D4Ι┫ D4κ ┣D4ω┫ D4κ ┣D4ω2┫ D4 ωはGF (4) の原始元、というものの共役類の話であることが解明された。Ωμ (2) の行列で、各行のHamming重みが4を法として1に合同になるものは、指数2┣D1κ-1┫D1 (2┣D1κ┫D1-1) の部分群H (μ) を作り、H (μ) 中では上の位数3の元の対角線はOであり、ラウンドロビントーナメントとの結び付きも明らかになった。田口からHTの構成プログラムの計算機利用環境の設定について、北條からはDRADの幾何的構造について引続き助言を得ている。
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