研究概要 |
1.重力平衡にある回転する磁気星間雲の重力平衡解を求め, 回転のみの場合及び磁場のみの場合と比較して, 回転や磁場の効果によって重力平衡の構造がどのように変わるかを明らかにした. 一般に, 磁場はその垂直方向にのみ力が働くので, 雲はより偏平になりやすく, かつ中心付近では回転の効果が小さいが磁場はよく効くので, 中心付近の構造へ大きな影響を与えている. さらに, 回転が非常に速くて, 磁場なしでは遠心力で飛び散ってしまう場合でも磁場の張力によって支えられ, 重力平衡になる場合があり, この場合は, 雲の外縁部の構造に大きな影響を与えることになる. 2.微分回転する銀河のスーパーバブルによる大スケールのガス混合がある系でのダイナモ効果について調べた. ダイナモ数は, 大きく変化しないが, 数Kpcにも及ぶガス混合, スーパーバブルによるハローへの吹き上げによって磁場の効率的な輸送が可能となることがわかった. このモデルは, スーパーバブル活動の激しい若い銀河では特に有効で, 若い銀河の磁場の強度・分布などへの重要な示唆を与えている. 3.磁気星間雲の安定性を, MHDコードで, 直接計算し, 角運動量分布と磁場の形状との関連, エントロピー分布と対流不安定性の関係などについて明らかにきた. 今後, より広いパラメーター領域を調べ, 一般的な性質を導き出す予定である.
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