研究課題/領域番号 |
62540182
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
天文学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉本 大一郎 東京大学, 教養学部, 教授 (10022592)
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研究分担者 |
江里口 良治 東京大学, 教養学部, 助手 (80175231)
川合 敏雄 慶応義塾大学, 理工学部, 教授 (30146724)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | 並列計算機 / 専用計算機 / 数値天文学 / 重力多体問題 / 球状星団 |
研究概要 |
天文学に現れる典型的な問題は、重力の相互作用下において空間的構造が現れ、それが時間とともに進化するというものである。数値シミュレーションを行うにあたって、それらは次のような根本的な難しさをもたらす。まず第1は、重力の遠距離性のために、系を構成する粒子ないしはセルの数Nの2乗個の相互作用を計算する必要がある。第2は、系の構造である密度コントラストに応じ、密度の-1/2乗に比例する時間スケールが現れ、場所によって適切な時間ステップが何桁も異なるという状況になる。 この問題を、アルゴリズムとその並列化、スーパーコンピューターによるベクトル化、並列型計算機(PAXやコネクションマシンなど)によってどう解決し、今後の計算戦略をたてるのが、この研究の目的であった。重力多体問題、天文学的な例としては球状星団の力学的進化などを中心にしてこのような計算を実際に行なって比較検討した。その結果、既存の汎用型計算機では、複雑なアルゴリズムは充分な並列化が難しく、さりとて、単純なものでは計算時間が膨大にならざるを得ないということになった。 そこで、この問題を解決するために専用計算機を設計することを考えた。結論として得られたのは、Aarsethの独立時間ステップの方法によるアルゴリズムと重力計算の過程のうち、最も時間のかかる部分をハード化して取出し、パイプラインに構成するのが良いということである。一本のパイプラインは、次に運動方程式によって積分される粒子に対する重力を計算するものであるが、他の粒子についてはそれぞれの独立時間をもとにして新しい時刻での位置を外挿し、それを使って重力への素子を計算するものである。そして、すべての粒子の位置等は順次パイプラインを流れる。パイプラインは浮動小数点50演算程度からなり、パイプラインを並列に並べるのも容易で、比較的容易に製作できると考えられる。
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