この研究課題の計画は、大マゼラン雲に超新星SN1987Aが出現する直前に立てられたものであり、実にタイミングよく超新星が出現したことになる。しかも、SN1987Aの光度曲線は、これまでに観測のない極めて特異なものであった。その意味でも、1987Aは、この研究課題にぴったりの超新星であった。 1.SN1987Aの光度曲線はなぜ特異だったのか。この問いに対する答えは、爆発した星が、青色超巨星という半径が、赤色巨星よりずっと小さな星だったことにある。半径が小さく、熱膨張の効果が大きかったために光度が低かったのである。 2.光度曲線のモデル作りによって、爆発した星の質量や、爆発のエネルギー、合成された放射性元素56Niの量が求められた。このような量が求められたのははじめてのことである。そして、光度曲線の後半は、56Coの崩壊によって説明できることを示した。 3.「ぎんが」によるX線の検出時期が、当初の予想よりずっと早かった。これを爆発の際の不安定によって物質混合がおこり、その結果、56Coだ星の表面近くにまで置かれたというモデルで説明することに成功した。この混合は、光学領域の光度曲線がスムースに上昇していったことを説明するためにも必要とされる。 この物質混合というのは、SN1987Aによって初めて明らかになった事であり、他のタイプの超新星でもおこっているであろうと予測できる。そしてタイプIbやIIp、IIlの光度曲線のモデルを計算し、観測を比べることによって、光度曲線のタイプと爆発した星の半径、質量、合 された56Niの量、爆発のエネルギーによって統一的に理解できることを示した。
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