研究概要 |
1.円偏光観測装置の開発と検定 飛騨天文台ドームレス太陽望遠鏡(DST)の垂直分光器用高消光比円偏光解析装置を設計・製作した. 本装置は, 一次水晶位相板と消光比10^<-5>の直線偏光板を円偏光検出素子とし, SITスペクトロビデオヘリオグラフを受光子とする二次元円偏光成分抽出画像装置である. 副次的に純度検定用のウオラストン・プリズムも備えている. 現在, DSTの器械的偏光特性の解析を進めているが, 従来懸念されていた真空望遠鏡の入射・射出窓の圧力変形による器械的偏向は, 本装置の精度では無視できる程度であるが, DST第2・第4鏡による偏光の抜本的補償が必須であることが判った. 2.太陽面微細構造の観測的研究 DSTにより継続的に観測研究されており, 今年度も多くの「若い」双極磁場の浮上事例が観測された. これらの「前駆兆候」がSITスペクトロビデオヘリオグラフによる磁場(円偏光)観測により, どこ迄遡って検出可能か, 現在, 解析中である. また, 太陽静穏領域の微小強磁場域の発見に関しても得られたデータの解析と検定を進めている. 3.画像取得・処理系の開発と充実 本研究では, リオ・フィルター(狭帯域複屈折干渉フィルター)によるHx単色画像を同時に撮ることが必須であるが, DST附設の西独ツァイス社製Hαフィルター用のプログラマブル・リモートコントロール装置を開発し, 実用に供した. これによりHα画像の逐次波長による自動観測が可能となり, 磁気鋭敏線によるSITマグネトグラムとの比較データが高密度で得られるようになった. また, 今年度飛騨天文台に導入されたVAXシステムに花山天文台の画像処理システム「KIPS」の一部を移植し, 現在, 総合処理を進めている.
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