研究概要 |
本年度の研究は、昨年度に納入された2台のBaF_2ガンマ線検出器の応答関数測定を最初に行った。実験は東北大学理学部付属原子核理学研究施設(核理研)の標識付光子生成装置を用いて行った。光子のエネルギーは25MeVより102MeVの間で、巾は2.5MeVで準単色である。このエネルギーの光子は、本研究の目的である(n,γ)反応によって観測する光子の領域を十分におおっている。BaF_2検出器に入射するガンマ線は40mm中にコリメートして電子陽電子シャワーを検出器内で止める様にした。この結果、本研究で興味のある領域の50MeV以下のガンマ線に対しては、分解能は12%程度、検出効率は70%以上ある事がわかった。分解能及び線型性は、検出器が高計数率(〜10^4)になっても安定であることが解った。この後分解能について、光電子増倍管とBaF_2との結合を改良することによって改善し、1.8MeVのガンマ線に対して8%の分解能を得た。 準単色中性子線を用いた(n,γ)反応のテスト実験は、東北大学サイクロトロンで^7Li(p,n)反応から生ずる準単色中性子を用いて行った。用いた中性子は、エネルギーが18.6MeV、分解能1MeV、強度は10^8n1secである。この中性子線を^<12>C^<28>Siに照射し、^<13>C^<29>SiのEI巨大共鳴から直接、基底状態付近に原子核が崩壊するときに放出される、20MeV以上のガンマ線を測定した。この結果ガンマ線は観測されたが、熱中性子等によるバックグランドが多く、精度の良い実験を行う場合、さらに高エネルギーの中性子を使用する場合は、これらをもう少し落とさなくてはならないことがわかった。 この研究は今後も、シールド等に対する改良を行い、アイソベクターE2共鳴の領域にまで中性子エネルギーを上げて続ける予定である。
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