核-核衝突の散乱過程で、我々は反応チャネル結合法を用いて2ヶのcore核の周囲を運動する核子分子軌道を定義する。その軌道状態と軌道間遷移の特徴、又それらの特徴あらわす現象について、定量的な数値解析を通じてそれを実験的データと比較の上研究を進めた(実験データ測定は共同研究者の研究所(ベルリン・ハーレマイトナー研究所)、大学(西独エアランゲン大)で行った)。 ○ 軌道間遷移については、"二つ"の非弾性散乱^<13>C(^<12>C、^<12>C)^<13>C^*C_3、09MeV1/2;と385MeV5/2^+)の断面積に観測される特異な振舞いが分子軌道間の"ランダウ-ツェナー"遷移に基くものであることを指摘し、その現象の、重イオン核反応に於ける存在を明らかにした。 ○ 分子軌道核子の質量がcore核の質量にくらべて無視出来ない大きさの為に生ずる散乱の動的効果-コリオリ力と核子core核間反跳効果-を調べ、それらの効果はすでに含み定義された我々の分子軌道状態は散乱を物理的に記述し得ることを示した。一般に動的効果は軌道"状態"そのものに強く反映するというよりは、断続的ポテンシャルや軌道状態間の遷移現象に反映する。 ○ 二ヶのcore核が異る"非対象core核"に関する軌道の研究の為の計算機プログラムを完成させ、軽いcore核系について解析を開始した。そこでは強い反応チャネル結合効果と、それを分子軌道状態が得られる。軌道間遷移には、一般に対称core核とは異るものがみられる。 ○ 我々は次に述べる研究の為、数値解析プログラム等の開発を進めている。i)上記のランダウ・ツェナー遷移について"diabatic"な系からその量子論的振舞いを知ること。ii)"重いcore核系"での陽子分子軌道に対する静電場効果を知ること。iii)core核の"集団運動"励起を考慮に入れて核子分子軌道を考察すること。
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