研究概要 |
1.「隠れた局所対称性」の研究では一般化された「隠れた局所対称性」の定式化を行なうとともに, その具体例としてA_1中間子の詳細な分析を行なった(坂東・藤原・山脇). さらにこれと従来の「有質量ヤン・ミルズ」理論との関係を解明し, 20年来のパズルに終止符を打った(山脇). また, この研究の総まとめとしての総合報告「非線型実現と隠れた局所対称性」を仕上げた(坂東・九後・山脇). これはPhysics Reports誌にまもなく掲載される予定である. この総合報告では従来の結果の外に新たに超対称な非線型シグマ模型における隠れた局所対称性の一般論を展開した. 低エネルギー定理に関する新しい定式化も行なった. 2.テクニカラー理論の研究では, Schwinger-Dyson方程式の解の研究が進んだ. とくに, 結合定数の運動量依存性とFCNC問題の解決策との関連を先ず解析的方法で解明し, 「ゆるやかに動く結合定数」をもつ漸近自由理論ではダメで, ノントリヴィアル紫外固定点のある我々の「スケール不変テクニカラー」のみが解決策になりうることを示した(坂東・両角・宗・山脇). その後コンピュータによる数値解を研究することにより, この結論を補強した(論文を準備中-青木健一・坂東昌子・美濃英俊・野々山龍彦・宗博人・山脇幸一の共著). 3.カイラル異常について正準量子化の立場での理論が進んだ(藤原・大貫). 4.スキルミオンと「隠れた局所対称性」の研究では, 力学的ゲージボソンに結合したスキルミオン解の新しい特徴を調べた(五十嵐・小林・小津・沢田).
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