研究課題/領域番号 |
62540203
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
笹尾 登 京都大学, 理学部, 助手 (10115850)
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研究分担者 |
逸見 康夫 京都大学, 理学部, 助手 (50025441)
中村 輝男 宮崎大学, 工学部, 教授 (00025305)
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キーワード | バリウムフロライド / 電磁カロリメーター / 光検出器 / セシウムアイオダイド |
研究概要 |
本研究の目的は、(1)優れたエネルギー分解能(1GeVの光または電子に対し2%以下)、(2)優れた位置分解能(8mm以下)、(3)応答速度の速い事(目安としてdead time 100nsec程度)、(4)大面積の検出器に出来る事、等の性能を有する光検出器を開発する事である。 1.本年度はバリウムフロライド結晶を持いた光検出器を試所し、東京大学原子核研究所に於いて、1.2GeV電子ビームによる性能試験を行なった。試作した光検出器は断面の大きさ120mm×120mmで、長さ300mmの直方体である。断面は、3×3のマトソック状に分割されており、その1つ1つが、CsTe光電面を持った光電子増倍管で読み出される。バリウムフロライド結晶は、現在の技術では長いものを製造するのは困難なので、150mm長のものを2本継ぎ合せた。この結果、電子エネルギー0.8GeVに於いて分解能4.2%を得た。これは後に述べるpureCsIより悪く、しかも目標を満していない。この理由として、試作した検出器が小さい事、結晶の継目で短い波長の光が散逸した事が考えられる。従って長い結晶を作る技術的進歩があれば、この方式は有望であると考えられる。 2.pure CsIも非常に短い減衰時間を持ったシンチレーション光を発光する事が最近発見された。この光を利用すれば、我々が目標とする性能持つ光検出器の製作が可能である。この結晶の発光量は、NaIの4%程度で波長は310nmにピークを持ち、10nsecの減衰時間である。大きさの断面150mm×150mm、長さ300mmの光検出器を試作し、1.2GeV電子ビームを使って性能試験をしたところ、1GeVで2%のエネルギー分解能を得た。この結晶は、我々の全ての要求を満足する事が判明し、光検出器用物質として非常に有望である事がわかった。
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