^<40>Caにおけるαクラスタ-構造が束縛状態と散乱状態を統一的に記述するとの視点から研究された。^<40>Caはsd殻の^<16>Oとアナログ核であり、又fp殻の^<44>Tiとは弱結合描像により似かよった性質をもつと考えられている。^<44>Tiについては最近同様の視点から束縛状態・散乱状態ともαクラスタ-構造の観点からよく理解できることが明らかになった。^<40>Caについては3.35Mevの0^+状態からはじまるK=0^+バンドはα粒子移行反応で強く励起され、αクラスタ-構造をもつと考えられてきた。しかし、理論的にはαクラスタ-模型は^<40>Caの構造全体を統一的に記述することができず、分子的観点が有効かどうかについては議論が続いてきている。 我々はα+^<36>Ar散乱と^<40>Caのクラスタ-構造を統一的に記述すべきであると提唱し、Woods-Saxonの2乗型及びスプライン関数型のポテンシャルを用いてα+^<36>Ar散乱の後方角異常現象を解析しよく再現することができた。これらのポテンシャルは^<40>Caのαクラスタ-状態として、K=0^+バンドとK=0^-バンドを反転2重項として与える。前者は0^+(3.35 l^neV)からはじまるK=0^+バンドによく対応する。しかし、後者は実験的には見つかってない。これは^<44>Tiで1986年我々によって予言され、1989年実験で見つかったK=0^-に対応するものである。我々は^<40>Caにおいてもこのバンドが理論的に存在すると考えるべきであることを示し、実験的に探索するよう提案した。このK=0^+バンド、K=0^-バンドのα幅、電気遷移確率等の分光学的諸性質が詳細に調べられた。K=0^-バンドが発見されるかどうかは^<40>Caのαクラスタ-構造及び分子的観点を確立する上で決定的に重要である。 更に、このK=0^-バンドは^<44>Ti、^<40>Caに限らずこの周辺核においても系統的に存在する可能性があることを指摘し、fp殻においてαクラスタ-・分子的観点からの系統的研究の必要性と重要性を明らかにした。
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