研究概要 |
1.3重陽子生成用の直接原子核反応として^2D,^9Beおよび^<13>Cを標的とした(d,t)反応断面積をEd=32MeVにおいて0°から15°の範囲で測定した. また7Li(α, t)反応の微分断面積をEα=42MeVにおいて0°から10°で測定した. これらのデータを解析し得られた結果は昭和62年度東京大学原子核研究所核物理部主催のワークショップ「全方位型大立体角スペクトログラフを用いた中エネルギー核反応の研究」で報告した. 2.上記の反応の内3重陽子生成反応として最も有利であることの判明した^2D(d,t)H反応に用いる厚い(〜50mg/cm^2)CD_2標的を種々の製法により製作した. プレス法により製作したものは重陽子照射時の発熱によってクラックが発生し易く実用上難点があった. CD_2粉末をステンレス治具上で加熱熔融し低圧プレス形成したものは重陽子ビーム電流150nAにおいて十分な強度を有することを確かめた. 3.2D(d,t)反応で0°に放出された約30MeVの3重陽子を, 1次ビーム(重陽子)と混在のまゝCa標的に導き, ^<40>Caによる3重陽子の弾性散乱微分断面積の測定実験を行った. 5°-15°の範囲のデータは容易に測定できた. 微分断面積が100mblsr以下になると現在用いている測定計(QDD型磁気スペクトロメータ+ガス比例係数管)のS/N比は不十分であることが分かった. 4.上記測定計のS/N比向上のために, ガス比例係数管の前方に透過型前置カウンタ(プラスチックシンチレータ)を設置しバックアップカウンタとの間で速同時計数を行うこととした. これを用いての最終実験は63年度に予定している. 5.データ解析, ビームクォリティシミュレーション等は今回購入のPC9800VXによった. 実験は全て東大原子核研究所SFサイクロトロンおよび磁気スペクトロメータシステムで行った.
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