研究概要 |
1.3重陽子生成用の直接原子核反応として入射ビームに軽イオンを用いる場合には反応のQ値、反応断面積および運動学的条件の3点から考えた時^2D^9Beおよび^<13>Cを標的とした(d,t)反応ならびに^7Liを標的とした(α,t)反応が可能性ありと判断される。これらの反応の0°を含む最前方での微分断面積を東京大学原子核研究所SFサイクロトロンと磁気スペクトログラフ装置を用いて測定した。スペクトログラフ真空槽内部に特殊な工夫をして入射ビームに対しO^。においても安全に測定が行えるようにした。これらのデータを解折し得られた結果を昭和62年度原子核研究所主催のワークショップ「全方位型大立体角スペクトログラフを用いた中エネルギー核反応の研究」で報告した。断面積およぴ運動学的条件から最も適当な反応は、^2D(d,t)反応であったが、強い中性子バックグラウンドを伴う欠点がある。^7Li(α,t)^8Be反応は断面積の点で劣るが、バックグラウンド粒子が少いこと、1次粒子の分離が容易であることの2点で、特にエネルギーの高い3重陽子を生成するのには実験的に有利であることが分った。 2.二次粒子を用いた散乱実験では一次粒子による強いバックグラウンドが避けられない。そこでカウンター系に工夫をすることによってS/N比を向上させることが不可欠である。本研究では特殊な透過型のプラスチックシンチレータカウンタを開発して磁気スペクトログラフ焦点面位置検出器の前方に配置し飛行時間測定を組み合せることによりバックグラウンを除去し二次粒子(3重陽子)の弾性散乱を測定することができた。 3.既存のデータを併せ、Et=9、11、12、15、17、20および33MeVにおける3重陽子弾性散乱の微分断面積データを6パラメータ光学模型による最適適合法によって解析し、光学ポテンシャルパラメータのエネルギー依存性を明らかにした。
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