研究概要 |
立教大学コッククロフト加速器からの170KeV重陽子ビームを^3HーTiーCuターゲット(TRTー31)に照射し, ^3Hーd中性子を発生させた(雑誌論文欄参照). 重陽子ビームに対して90°に放出される14.1MeV中性子を使い, ^7Li(n,t)^5Heと^7Li(n,d)^6He反応の微分断面積を0°〜90°領域で10°間隔に測定した. 厚さ3.90±0.06mg/cm^2の^7Liターゲットは99.988%の濃縮同位体金属を使って圧延法で製作した. この目的のために精度のよい圧延器を製作した. 荷電粒子検出器としては, 2個のガス比例計数管と2個のSi検出器(ΔEとE測定用)からなるカウンターテレスコープを2組(CT1,CT2と呼ぶ)使用した. ^7Liターゲットとテレスコープを入れた散乱箱には100Torrの計数管ガスAr+5%CO_2を詰めた. CT1とCT2の軸の間の角度を50°とし, これらを同時に回転して反応の角分布を測定した. 各テレスコープからの4つのパルス信号はNIM系とCAMACデータ処理装置でコンピューターに取込まれ, 磁気テープとディスクにリストモードで記録された. p,d,t,αの粒子弁別, バックグラウンドの差引き, ターゲット・ガス・ΔE検出器中での粒子のエネルギー損失の補正などをオフラインで行ない, 各種粒子のエネルギースペクトル(dσ^2/dEdΩ)のデータを取得した. 現在, データは解析中であるが, CT1で測定されたトリトンと重陽子のエネルギースペクトルの高エネルギー部分(4MeV以上)と微分断面積(dσ/dΩ)は得られている(雑誌論文欄参照). なおエネルギースペクトルの低エネルギー部分(4MeV以下)と断面積の絶対値についてはまだ問題が残っている. 特に計数損失の補正について検討中であるが, これに焦点をしぼった再実験を近日中に行なう予定である.
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