63年度は前年度が主にCeCu_6の熱膨張係数及び磁歪に関する実験が主であったがこれらの研究の他の典型的なCe系のhevy fermionであるCeAu_3、CeCu_2Si_2、CeInCu_2に拡張することを試みた。これら3つの物質に対し本年度に得られた結果を要約すると以下のようになる。 i)CeAu_3の熱膨張係数αは高温側(100K【.SY.ltorim.】T【.SY.ltorim.】300K)でf電子をもたないLaAl_3と類似の振舞いをするが低温(T【SY.ltorim.】20K)では温度Tを下げると共に上昇していく。これはCeCu_6と同様な振舞いであり近藤効果による異常と思われる。 ii)CeCu_2Si_2においてもα-T curveでT【.SY.apprxeq.】20K付近から異常がみられたがi)のCeAu_3に較べて低温側でのαの増大(ennancement)大きかった。この差異は試料の純度が主な原因として考えられる。 iii)CeInCu_2はγ〜1J/molk^2であり重い電子系に属する物質であることが最近明らかにされた。本研究ではCeInCu_2の単結晶を使い<110>方向の伸びを測った結果α_<110>にはi)又はii)で見出された異常は観測できなかった。ただLaInCu_2との比較でその差△α=α(CeInCu_2)-α(LaInCu_2)の温度依存は約20Kにmaximumをもちこれが結晶場分裂によるものとすれば分裂の大きさ△は約50Kとなる。これはonukiらの値65Kよりやや小さい。目下詳細は解析を続行中である。
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