研究概要 |
高Tc酸化物超伝導体は小数キャリア系超伝導と見るのも可能である. その機構を探るべく, われわれは, Ba_2PbO_4系固溶体, およびNd_<1-x+y>Ca_xBa_<-y>Cu_3O_<7-z>系固溶体を作成し, その超伝導特性を調べた. これらの系が固溶体を作ることはX線解析で調べ確かめた. (1)Ba_2PbO_4はLa_2CuO_4とおなじK_2NiF_4型結晶構造を有しており, 電気伝導はPbO_2面内を伝わる二次元性特性を示し, 酸素欠陥によると思われるアンダーソン局在の前駆現象を示唆するlogT依存性を示した. Ba_2Pb_<1-x>Bi_xO_4は超伝導を示さなかった. Ba_<2-x>K_xPbO_4は10Kに於いて抵抗は急に下がり超伝導の兆候を示しているので現在研究を進めている. (2)Nd_<1-x+y>Ca_xBa_<2-y>Cu_3O_<7-z>系固溶体においてNdのCa置換はホールドープ, またBaのNd置換はホール補償に相当する. Ca濃度一定のとき過剰なNdを増やしてホール補償を進めてもO<x<0.05, 0<y<0.10であれば超伝導転移温度Tcはほぼ一定になっていることが分った. このことから123系化合物のフェルミ準位は超伝導出現に好都合な場所に位置していることが分った. ファラデー効果は高Tc酸化物超伝導体の電子バンド間遷移などにつき重要な情報を与えると考えられる. 現在整備を進めている.
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