研究概要 |
米国ブルックヘブン国立研究所との共同研究によって, 中性子散乱実験は, 昭和63年度に予定していた分まで含めて, すべての実験・解析を終了した. YMn_2, Y(Mn_<0.9>Al_<0.1>)_2の2種類の資料に対して各々, 10〜600K, 5〜750K 迄の温度範囲に渡って偏極解析法による磁気散乱断面積を測定することにより, スピンのゆらぎの局所密度の大きさ(即ち"局在モーメント"の大きさ) 及び, それらの空的相関の強さの温度依存性に関する知見を得た. これらの結果は全体として, この系が遍歴震子系一局在モーメント系の転移をするという予測通りであった. 結果は3編の論文として発表した. (内一編は現在投稿準備中である. ) 核磁気共鳴に関しては, 資料作成のおくれ(後述)との関係上, 主として装置の性能向上の為の改造に努めた. 特に本年度末に最高磁界6テスラの超伝導マグネットが入る事になったので, この高磁界を利用して極めて短かいと考えられるTMn2系におけるスピンー格子緩和時間の測定に適するように周波数域を高く変更する改造, 増設等を行なった. 本年度の設備・備品費で購入した, アーク溶解炉は納入直後の故障のためメーカー(米国)へ返送して修理したため試料作成のスケジュールがかなり遅れた. しかし, 修理は順調に完了した. 現在アルゴンガスの純度, 溶解条件等について検討を重ねながら, 核磁気共鳴に使用する良質の試料作成に努力している.
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