本科研費が交付後、昭和62年10月に東京大学から岩手大学へ転任になり、その後再度岩手大学から金沢大学に、昭和64年の1月に転任することになり、本研究にじっくりと取りくむことが困難であった。しかし、金沢大学において研究テ-マを遷移金属カルコゲナイドの電荷密度波転移と超電導転移の相関とすることにより、わずかながらであるが論文として公表出来るような実績をあげることが出来た。その内容は平成元年度の研究実績の概要のところに記しておいたので、ここでは述べないことにする。転任につぐ転任の中で学術論文として公表出来るような研究成果を上げることは非常に苦労が多い。また転任ごとに研究テ-マに苦しみを味わった。今後はじっくりと、研究に励みたいと思っている。現在興味を持っている研究分野は超低温領域での物性であり、希釈冷凍機の購入を考えている。その準備段階として、高エネルギ-研の放射光実験施設の低温ワ-キンググル-プに属し、希釈冷凍機を用いた超低温X線回折のグル-プに参加し、非常に良いデ-タを得ている。この結果は今年(1990年)の8月にイギリスのサセックスで開催されるLT19で発表される予定である。また、超低温領域での中性子線回折にも興味をもち、現在勉強中である。海外留学か国内留学で中性子線回折の出来る共同利用施設のグル-プに属し、超低温でのX線回折同様に国際会議で発表できるような良い仕事をしたいと考えている。
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