研究課題/領域番号 |
62540238
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
志賀 正幸 京都大学, 工学部, 教授 (30026025)
|
研究分担者 |
和田 裕文 京都大学, 工学部, 助手 (80191831)
|
キーワード | ラ-ベス相 / YMn_2 / スピンの揺らぎ / 電子比熱 / 電気抵抗 / 重いフェルミ粒子 / スピングラス / フラストレ-ション |
研究概要 |
遍歴電子反強磁性体YMn_2のYをSc置換すると反強磁性が消失し、巨大なスピンの揺らぎを示すパウリ常磁性体になることを熱膨張の解析、中性子散卵の実験によって示した。昨年度はさらに低温比熱、電気抵抗の測定を行いこの系が3d金属でありながら重いフェルミオンとしての性質を持つことを示した。今年度は、さらにMnをAlで置換したY(Sc)(Mn_<1-x>Al_x)_2系について、磁化率、低温比熱、熱膨張を測定し、この系の特異な性質が磁気相互作用の競合(フラストレ-ション)によることを示した。以下に平成元年度の主な成果を記す。 (1)Y_<0.95>Sc_<0.05>(Mn_<1-x>Al_x)_2系の磁性。 この系の帯磁率を測定したところ、x>0.05において帯磁率温度曲線にピ-クが生じることがわかった。このピ-クはスピングラス凍結によるものであることを明らかにした。 (2)Y_<0.95>Sc_<0.05>(Mn_<1-x>Al_x)_2系の低温比熱。 x=0において見られた巨大電子比熱係数(γ=140mJ/mol・K^<2+>)がXの増加とともに急激に減少する事がわかった。 (3)Y_<0.95>Sc_<0.05>(Mn_<1-x>Al_x)_2系の熱膨張。 x=0において大きな熱膨張係数を示すが、x=0.1では正常な熱膨張係数を示す。その中間、X=0.03、0.05で自発体積磁歪によると思われる熱膨張異常が観測された。 (4)異常の結果をC15構造に特有な磁気的フラストレ-ションとその不純物効果として説明した。
|