研究概要 |
本研究は、電子顕微鏡にカメラとマイクロコンピュータを接続することにより、高分解能電子顕微鏡法による構造観察を連続的・自動的に行う簡易なシステムを開発し、これによって化学変化に伴う結晶の成長・転移機構などを原子オーダーで解明することを目的にして実施した。 このために、マイクロコンピュータで実行できる電子顕微鏡像シミュレーションのプログラムを作成し、また、計算像と観察像とを定量的に比較し構造決定を行うプログラムを開発した。さらに、電子顕微鏡観察像をカメラを通してコンピュータに取り込み結果を出力するまでのハードとソフトを開発した。 このシステムを用いて、結晶および不規則系の構造解析に応用し、以下の成果を得た。 (1)化学反応による物質の生成の原子格子的研究:Cu+Te,Cu+Se,Ag+Te系の固相反応過程の解明と不定比化合物を含む未知結晶の構造解析 (2)結晶表面、界面の超微細構造:Te,CuTe結晶の表面プロファイル像による側表面単原子層のステップの解析、粒界構造の解析 (3)酸化物セラミックスの欠陥構造:安定化ジルコニアZr(Ca)O_<2-X>中の酸素空孔壁、CaZrO_3とφ_1相の整合析出の観察、φ_1相の結晶構造解析 (4)アモルファスの構造と結晶化:非晶質Se蒸着膜の電子顕微鏡観察中の結晶化と分解の過程の観察、非晶質Seの構造解析 (5)置換型不規則系の構造と物性:スピングラスBaTi_<2-X>Sn_XFe_4O_<11>,ポーラグラスBa_XK_<2-X>Fe_XTi_<6-X>O_<13>の磁性クラスター,分極格子クラスターの観察、不定比不規則系化合物の結晶構造解析
|