研究概要 |
1.研究課題の基本的な考え方は, 平均場近似の範囲内では数値計算を経なくても展開できる. そこでletterの形で, J.Phys.Soc.Jpn.に投稿し掲載された. priortyはひとまず確保したことになる. 2.静電気的長距離力の効果は強誘電体相転移を議論する際不可欠である. そこで, 臨界現象の研究の場合に使用した"縦波のゆらぎが反電場効果で抑えられる"ことを静電力と全体の相互作用の比Dで表わすという方法でこの効果をとり入れ, Dをパラメーターとしたゆらぎのgについての和の数値計算を行った. その結果, 変位型の度合を表す我々の重要なパラメーターt_0でCurie定数が変化するのと同程度の効果が生じることが判った. この結果については口頭では日本物理学分科会(昭和62年10月)で発表した. 現在, 論文執筆中である. 3.量子効果により誘電率の増大が抑えられるという現象も同じ形式で議論できることがもう一つの我々の型式化の利点である. この点については岡山理科大学・松原教授と共同研究することになり, 我々の形式で両大学で数値計算中である. この結果の一部及びその基本的考えについては, 日本物理学会誘電体分科会のシンポジウム「量子強度誘電性-現状と展望」に於て研究代表者が"誘電率の理論"として発表予定(昭和63年4月2日)であり, 数値計算については共同研究者が一般講演で発表予定である. この数値計算の結果を含めた量子効果の論文は当初の予定通り63年にまとめる予定であり準備中である. 4.同課題の実験的検証となる強誘電体KH_2PO_4, 反強誘電体NH_4H_2AsO_4についての実験の論文を発表した. 5.1〜3の結果をまとめて8月に筑波大で開催予定の日ソ強誘電体シンポジウムに講演を申し込んでいる.
|