研究概要 |
1.量子スピン系、(1)有限系の計算:スピン数Nが20を越えると、コンピュ-タ-による計算は非常に難しくなる。この困難を少しでも克服するため、我々が考えた方法は体系を2つまたは3つに分け、第一の方法はTrotterの公式を用いるもの、第二は摂動法を用いるものである。(2)基底状態の固有値、固有関数の2、3の性質:スピン数Nが偶数のとき、全スピンS、そのZ成分をMとして、M=0の固有関数はeven parityとodd parityのtのが同数であり、基底関数はN=4、8、12、…はeven parity,N=2,6,10,…はodd parityであることを証明した。(3)Resonating Valence Bond:スピン1/2の反強磁性ハイゼンベルグモデルの基底状態は、全系のスピンを2個づつsinglet pair(最隣接とは限らぬ)にして、あらゆる配列の組合わせをとった空間の中にあることを始めて証明した。 2.イジングスピン系、(1)転送行列法:イジングモデルで2次元、3次元の場合のscrew methodによる転送行列を作り、それをコンピュ-タ-で解いて分配関数を計算し、finite-size scaling法を用いて臨界指数y_T、Y_Hを求めた。この種の計算はこの論文が最初である。(2)±Jモデル:転送行列を作る方法を応用して、スピングラスの±Jモデルの相関関数を計算し、その減衰から2次元格子ではスピングラス相は存在せず、3次元格子では存在することを確認した。(3)第1、第2隣接スピン間相互作用をもつ三角格子:転送行列法で相関関数の減衰を計算し、この系がT_<c1>以下の低温ではフェリ相、T_<c1>とT_<c2>の中間はKosterlitz-Thouless相、T_<c2>以上はパラ相であることを確認した。 3.Coherent Anomaly Method(CAM)。単純立方格子のハイゼンベルグモデルで、クラスタ-近似の結果をCAMで整理して臨界指数を求めた。また正方格子のイジングモデルの表裏変換を用いて、比熱を計算し、CAMで解析して、比熱は臨界点でlog発散する結果を得た。
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