研究概要 |
酸化物高温超伝導体を主な対象にして, 電子格子相互作用のみが存在するというモデルに基づき, 超伝導転移温度を理論的に算出することができた. この理論は径路積分法に基づくもので, 電子格子相互作用が弱いBCS的領域から, 強いバイ・ポーラロン的領域までを統一的視点から解明することのできる, きわめて新しい理論で, 世界ではじめて得られたものである. この理論の結論によれば, 転移温度はBCS的領域からバイ・ポーラロン的領域に移り変わっていく中間的領域で最大になり, 酸化物高温超伝導体の場合について, この理論でTcを試算してみると100°K程度になり, 実験結果とよく一致する事がわかった. 以上の成果は昭和62年7月に京都で開催された第18回低温物理学国際会議で発表され, 更に仙台に於ける山田コンハアレンスに於いても発表されたが, 国内外の研究者から高い評価を受けた. 又, Physical Review Bの1988年1月号に掲載される予定である.
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