研究課題/領域番号 |
62540282
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松田 博嗣 九州大学, 理学部, 教授 (10027336)
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研究分担者 |
荻田 直史 富士通株式会社システムラボラトリー, 顧問 (30087366)
巌佐 庸 九州大学, 理学部, 助手 (70176535)
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キーワード | 格子模型 / 生物集団 / 進化 / 動的疫学 / ペア近似 |
研究概要 |
この研究は、生物集団の空間的構造を表現する格子模型に関して、さまざまの近似解法を展開し、その適用限界を計算機やシミュレーションで数値的に調べる一方、動物の利他的行動の進化や、病原体の広がりと絶滅、陸上植物の樹高・樹冠の形とその空間分布など進化生態学・社会生物学の多様な問題への応用を試み、集団生物学における格子模型の有効性を確立するのが目的である。本年度は、研究協力者の佐藤一憲との共同研究により、格子モデルにおける病気の進化の研究において特に成果が上がった。 格子構造をもつ生物集団に、伝染性の病原体がひろがる場合を解析した。空格子点を0、健康な寄主個体が占める格子点を+、病気に感染したた個体が占める格子点を-とする。病気は隣接格子点にいる健康な個体にうつる。健康な寄主個体は繁殖して隣接する空格子点に子を侵入させる。最終時間Tを固定して格子点の数を無限に増大させたときの極限では、生物絶滅型(健康な個体がなくなる)、病気根絶型(感染個体はなくなるが、健康な個体は存在する)と、共存型(健康個体と感染者とが共存する)の3型が考えられる。このような構造模型と、感染と侵入とが空間的に一様に生じるという非構造模型とを格子の次元を変えて比較したところ、空間構造のある1次元集団では病気根絶型が良く生じるのに対して、非構造模型や2次元の模型では病気が広がり共存型が良く生じることが判明した。
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