研究概要 |
本年度は予定のとおり実験装置の設計製作を行ない新年度からの実験に備えた. 本年度科研費補助金により製作の実験装置は, 1.ドリフトチューブと比例蛍光計数管とからなる液体キセノン中の電子の縦拡散係数測定装置本体と, 2.これを納める低温容器と, 実験に使用するキセノンガス用の 3.純化装置とである. また, これ以外にも校費により 4.測定用電気回路系の整備を行った. 1.ドリフトチューブでは電子のドリフト距離を0.4cm〜4.0cmの範囲で設定できるものとし, 電場の一様性を保つために電場形成用の電極をおいた. 比例蛍光計数管はこれまでの実験で使用したものと同様に陽極心線とその付近で生じる蛍光を見るためののぞき穴を持つカソードとからなるものを採用した. 2.液体キセノンの温度を精密・安定に調節できるように, 縦拡散係数測定装置本体の容器は真空断熱し熱抵抗の小さいパイプで真空排気系に取り付けることとした. この本体容器の周囲は液体窒素を用いて冷却することとした. 3.キセノンガスの純化装置は約40lの円筒形容器で, この内に20個の円筒形の皿を積み重ね, これにこれまで十分な実績のあるチタン・バリウム合金のゲッター約20000粒を充填した. 4.比例蛍光のパルスの時間幅を電圧に変換し, さらにAD変換して, パーソナルコンピューターで処理するための電気回路を製作し, 現在調節中である. また, 高電圧装置の準備はほぼ完了している. 以上のように, 新年度の予算でキセノンガスを購入して実験を開始するための準備はほぼ完了しつつある.
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