研究概要 |
東大のT42, T21, 12層対流圏大循環モデルを九大へ導入し, 九大大型計算機センターで走るようにコードの変更をおこなった. このモデルを使って, 予備的なテストランとして対流圏の四月の大循環の計算を実行し, 九大の計算機での再現性, 時間積分の高速性などについて調べた. この結果T42, T21の両モデルともに異常なく対流圏大循環を再現でき, また十分高速に計算が実行できることが分かった. このモデルを中層大気にまで拡張するためには, 成層圏・中間圏で使える大気赤外放射スキーム(特に, CO_2,O_3について)の開発が必要であり, その開発に着手した. 当面, 約80KMの高度を上限とし局所熱平衡を仮定した赤外放射スキームを完成し, 現在, 放射対流平衡温度分布を計算することにより, このスキームのテストを行っている. 中層大気への拡張におけるもう一つの問題点は, 鉛直座標系の問題である. 現行モデルは対流圏の大循環を効率よく表現できるシグマ座標系を用いているが, 地表面の地形の効果を直接受けない中層大気大循環を表現するためにはシグマと圧力の両座標系のハイブリッド座標系が必要である. 現在これに必要な予備的解析を終え, モデルのコーディングに取り掛かった段階である. このモデルは, 鉛直30層モデルであり中層大気では約3KMの鉛直分解能を持っており, 中層大気のかなり細かいスケールの運動まで記述することが可能なモデルを目指している.
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